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『VISUAL COLLECTION シェリル・ノーム』

例によって2059シリーズのお馬鹿小話ですが、『VISUAL COLLECTION シェリル・ノーム』のネタバレも含まれています。

たいしたこっちゃありませんが。
今回は流石にシェリルさんもひいてます…。

相変わらず、アルトさんの気配はうっすらとしか感じられません(笑)





映画のクランクアップも間近に迫る、ある日。

「おっはよーございます!!」
スタジオに嬉々としてやってきたのは、ランカだった。
「なんだぁ?」
ホン読み中のアルトが問い掛ける。今日はシェリルとランカ、3人のシーンを撮るので、これからシェリルも来る。今はスタッフの他に、俳優はアルトだけだ。
「あれ?早乙女君だけ?」
「…悪かったな」
劇中ではランカは自分に好意を寄せているのに、現実ではなんだかんだとアルトを敵視している。常日頃から『シェリルさんは私の!』宣言をしているランカにとって、目下のライバルは実兄であるブレラと、アルトということらしい。(因みにブレラはランカ相手に早々、白旗をあげているが)
しかし、
「ふふふん。今日のランカちゃんは機嫌がよいのだ♪」
「…そうか。良かったな」
不気味な笑みを浮かべながら躙り寄ってくるランカから目を背け、アルトはホン読みに集中しようとする。そこへ、
「じゃーん♪」
ランカは持っていた袋を開き、アルトの前に突きだした。それは、
『VISUAL COLLECTION シェリル・ノーム』
紙媒体の写真集だ。
「…ちょ!発売前じゃないか、どうしたんだよ!?」
「LAI関連の印刷会社から、試し刷り版をルカ君に頼んで分けて貰っちゃったのー」
「その手があったか…!」
データ版で出版されるのは来週以降。紙媒体で先行発売されるが、既に予約は一杯だった。映画関係者だからなんとか手に入るか、と期待していたのだが、それは甘く。データ版でならともかく、紙自体貴重なので限定注文が完売済みのため、手に入らないと言われていたのだ。
「早乙女君、予約出来なかったんだよね-?残念でした」
「ちょ!見せろよ!」
「い・や☆」
控え室で追いかけっこをしていると、
「ランカちゃん、そろそろ…」
シェリルが入ってくるなり、絶句した。
「何やってるの」
「これはだな」
「シェリルさん!」
喜色満面でランカはシェリルに駆け寄る。
「あの!これ…」
「あら。まだ発売前じゃなかったかしら?」
ランカはシェリルの写真集を差し出す。すると、シェリルも疑問の声を上げた。発売前だし、まだ彼女自身の手元に届いていないのだ。
「実はちょっとした伝手で。それで、これにサイン欲しいんですが」
「いいわよ」
愛用のレインボーペンを取り出し、そこにサインをしようとするが、
「出来れば、お顔は避けて下さい」
注文を付けられ、苦笑する。
「こんなの、いつだってサインしてあげるのに」
「でも、あたしは一介のファンですから」
「……(白々しい)」
アルトが呆れていると、後ろ向きで下がったランカは、ヒールでアルトの靴を思いっきり踏みつけてきた。彼はシェリルの手前、ぐっと堪えたが。
「中身、観た?」
恥じらいながら問い掛ける、シェリル。
「いえ。まだです」
「今回、雑誌グラビアの再録が殆どなんだけど」
シェリルは手元のスケジュールボートを操作し、リストをランカに示した。
「前、ランカちゃんと一緒に撮った写真もあるから、ギャランティ出すのよ。連絡が遅くなってごめんね。この契約書にサインしてくれる?社長からはサイン貰っているんだけど」
「え…」
スケジュールボードに表示されたギャラの金額は相当なモノだ。
ランカは硬直する。
「そんな、お金なんて」
「これも立派なお仕事よ。社長には話したけど、うちの事務所から、ランカちゃん個人にもお礼がしたいってグレイス―うちの社長が言うから」
だから受け取って、とシェリルは契約書の画面をSide突きだしたが、ランカは受け取ろうとしない。
「…シェリルさん。あの、お金は本当に良いので」
「そんなわけに行かないでしょう」
一向に受け取ろうとしないランカと、ひかないシェリル。撮影の時間も差し迫っているのにどうしたものか、とアルトもはらはら見守っていると、
「あの、それじゃあ…」
ランカが告げる。
「お金の代わりに、今回の写真集関連のポスターとか、ゲラとか頂けますか?」
「え…?」
「その方が私、嬉しいです!出演料、だというならそうして下さい。できれば、紙媒体の写真集もいただけたら…」
「でも」
写真集は完売しているし、ゲラは手に入るか分からない。ポスターは手に入るかも知れないが。ギャラの分、だと相当な量になる。
「なんとか…手に入らないかうちの事務所に聞いてみるけど。本当にそれで良いの?すごい大量になるし、これはお仕事なんだから、ちゃんとお金で払うわよ」
「ううん、いいんです。もらえるなら、それで幸せです!!」
「……仮に写真集で貰うとしたら、百冊単位になるんじゃないか…そんなにどうするんだよ?」
呆れ果ててアルトは声を掛けた。
「そうだね、仮に百冊だったら」
ランカはうっとりと視線を彷徨わせる。
「10冊は鑑賞用でしょ、10冊は保存用にするモン。後は全部”ツカウ”かな」
「…”使う?”」
シェリルも首を傾げる。男が”ツカウ”というのは、なんとなく分かる気がするが、ランカは女の子だ。どうするのかと思っていると、
「ベッドの下に敷き詰めたり!一頁ごと切り離して額縁に入れて飾ったりするんです!それだけでも80冊なんて使っちゃいますよ!」
「……」
「もう毎晩毎晩、一冊ずつじっくり毎日眺めて過ごせるなんて…幸せですv」
うっとりと呟き、完全に一人の世界に突入したランカからシェリルは目を逸らし、
「……アルト」
「な、なんだ」
彼女から声を、しかも”早乙女”ではなく、アルトと呼び掛けてきたのはずいぶんと久しぶりで、舞い上がりうわずった声になりそうなのを必死に堪えると、
「とりあえず、私たちだけでもスタジオ、行きましょう」
「あ、ああ」
二人、無言で連れ立ってスタジオに向かう。
やがてぽつりと、
「…フロンティアのファンって、あんな感じなのかしら…」
独りごちるシェリル。
「…いや、あいつは特殊だ」
アルトは答える。あそこまで図々しいのが、ある意味羨ましいと思ったのはおくびにも出さず。



暫くして、マネージャーから探し出されたランカがスタジオに連れてこられ、何とか撮影は開始された。
シェリルが戦場で病に倒れ、ランカの歌とアルトの耳に飾られたフォールドクォーツのイヤリングによって、三人で会話するシーンだが。
ランカはなかなか、『アルト君も飛べたの!』のセリフが言えず、何度も撮り直しになってしまい、とりあえずランカのみ撮影は後日に持ち越されたのだが…。

「どうしたんです?ランカさん」
グレイスが声を掛け、ハンカチを差し出した。
「…グレイスさん」
押し殺した声で答えるランカの様子は、鬼気迫るモノがある。
「写真集の撮り下ろし、グレイスさんも立ち会ってますよね?」
「え、ええ」
「……なんで着物なんですか」
「え…?」
「撮り下ろしのアレ!どういう設定なんですかっ!シェリルさん、はん…半裸だし!しかもそれなのに足袋だけ穿いてる、って!いやらしいぃぃぃぃ」
むきいぃぃ、と猿のような声を上げランカはハンカチを噛み締める。
「…え、ええと」
「あ、あれは…あれはっ。やっぱりシェリルさんはっ…アルト君にあの離れで襲われたってことですかっ!?そういう設定なんですかーーー!?」
「いえ、あの、べつに」
…そんなシチュエーションではないのよ、あれは別に深い意味はなくて、ただの演出なのよ、とか、いろいろ言葉を尽くして宥めようとした。
結局。
疲れ果ててしまったグレイスは、急遽ラストシーンからの撮影となった。

後日。
ランカの家には百冊のシェリル写真集と(わざわざ彼女のためだけに再版した)、三百枚のポスター、ゲラのコピーがそれぞれ各500枚送られてきた。彼女は狂喜し、一緒に暮らしていたブレラを追い出して部屋を一つ開け、専用部屋を作ってしまった…という噂が内部に出回ったが、外部では誰も信じる人はいなかったので、あくまで噂で終わった。



終わり
(劇場版どうなるかな…)

テーマ : マクロスF
ジャンル : アニメ・コミック

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Author:Rook
ようこそおいでくださいました。
こちらはマクロスフロンティア感想・および原作とは全く関係のない妄想小話の吐き出し部屋です。
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銀河の妖精至上主義
一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

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