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暴走ランカちゃん

例によって、『UNIVERSAL BUNNY』ジャケ絵に悩殺され、アホねたが思い浮かびました(笑)
これも2059シリーズです(どんどん溜まってくなぁ)。
本来はアルトさんがより可哀想な目にあったり、
グレイスさんが気の毒だったりするのですが。
…アルトさんに限って言えば、可哀想どころか血の海に(ゑ)なりそうだったので、そこんところはカットしてお送りします。




UNIVERSAL BUNNY

「ありがとう、お兄ちゃん。短いけど、一緒に共演できて楽しかった」
「ランカ…?」
映画公開を控え、今はみなプロモーション活動に忙しい。ブレラはお昼の長寿番組『笑っていいかな!?』のゲスト出演を終え、控え室に戻ったばかり。
この番組のレギュラーでもあるランカは、これから出番だ。
今日はこれから映画の宣伝と、そのミニアルバムの宣伝も兼ねて終盤、ゲストにシェリルも来る。ブレラは収録があるのでシェリルに会えない。
もはや銀河中で知るものが居ないほど売れっ子になった兄妹はお互い時間が無く、せめて番組の合間に会おうと約束し、久しぶりに妹に会うのをブレラは楽しみにしていたというのに。
会って早々、その台詞で途惑った。

なのに。
「どうした、ランカ」
「ううん、なんでもない」
まるで、映画の中でバジュラを相手に歌う決意をしたあの表情に似ている。気になったので、次の収録があるもブレラはギリギリまで控え室に残ることにした。

レギュラーコーナーは滞りなく進む。
ただ、ランカの表情は固かった。CMの間に司会者や他の出演者が「どうしたの、ランカちゃん」と声をかけたが、ランカはぎこちなく微笑むのみ。

そして番組終盤。
司会者が興奮した面持ちで告げた。
「今日はヤック・デカルチャーなゲストが挨拶にお越し頂きました!ランカちゃん、皆に紹介してくれるかな?」
マイクを渡され、ランカは一瞬表情を強張らせたが、
「はい、私も出演させて頂いてます『フロンティア2059』の映画、主演の──」
ランカの声は観客の悲鳴にかき消され、
「ご存知、銀河の妖精、そしてあたしのシェリルさんですっっ!」
後半は観客の耳にも共演している他の者にも届かなかったか、ブレラの耳はばっちりそれを捕らえていた。
「ランカ…!?」
出ていきたいが、番組の進行を妨げるわけには行かない。そして、シェリルが手を振りながら、
「みんなー、映画、観てくれるかな?」
袖から現れた瞬間、辺りは興奮のるつぼになる。それは観客のみではなく、他の共演者も同様だ。

シェリルは映画のステージ衣装──黒と紫のビスチェにギリギリ限界、フリルのミニスカート。ブーツとスカートの裾の絶対領域(笑)はおろか、引き締まった腹筋も、可愛らしいおへそも露になっている。
「今回はまた、セクシーですね」
司会者は上ずった声だが、何とか進行しようと必死だ。
「ふふ。ありがとう、映画のステージ衣装よ」
女王然としたシェリルはそう応じて、更に、
「今回は映画だけじゃなく、今度出るミニアルバムの宣伝もあるの──」
と、言いながらスタッフに手にしていた物を手渡そうとしたが、
「ダメです!」
ランカはスタッフの手にわたる寸前、それを奪い取った。
「こんな…こんなモノ、宣伝しちゃだめです!」
「え…?」
「ラ、ランカちゃん?」
一同はただ呆気にとられるのみだったが、
「シェリルさんの歌は勿論デカルチャーです!最高です!でも、こんな…こんなジャケはっ」
ランカは奪い取ったポスターを腕で潰そうとしたが、その時、
「お兄ちゃんっ!?」
「バカな真似はやめろ、ランカ」
素が出てしまったランカに、ブレラは耳元で囁くと奪い取ったポスターを観客の目の前に広げた。
途端、声にならないどよめきが起こる。

ブレラが広げたポスターには、シェリルのほぼ全裸に近い背中。
それを見た観客の中には失神する者まで現れる始末。
「こ、これがジャケットのポスターですか」
司会者も動揺しながら、何とか話をシェリルに振ろうとする。

「ダメです!」
再びランカは叫んだ。
「シェリルさんはっ…シェリルさんのエロかわカッコイイ背中も腰もお尻も、誰にも渡せません!」
「へ…?」
シェリルは思わずぽかんとする。
司会者をはじめ、誰も突っ込めない。
「そう…私、ランカはここに宣言します!」
ランカは一人、叫んだ。
「シェリルさんは…銀河の妖精だけど、シェリルさんはあたしのです!アルト君にも、皆さんにも渡しません…!銀河もバジュラも敵に回したって構いません!だから皆さん、シェリルさんのニューアルバム『UNIVERSAL BUNNY』は買わないで下さい!」
「え…?」
動きを完全にフリーズさせたシェリルの手をがっしりと握り、ランカは叫んだ。
「シェリルさん、一緒に幸せになりましょうね!」
「え…あ、は、はい?」
呆然としたシェリルの手を握りしめたまま、ランカはそのまま彼女を連れ去ってスタジオを出て行ってしまった。
後に残された出演者を始め、スタッフも観客もただ呆然とするばかりだったが、勇気あるADがなんとか本来の職分を取り戻し、CMに入ることを告げた。
「…突然で申し訳ありませんでした」
ブレラが司会者に告げ、
「これも映画の宣伝活動の一環ですが、やり過ぎました」
そう言って頭を下げる。すると、
「映画の宣伝…ですか」
石化の呪いが解けたかのように、司会者が呆然と呟く。
「そうです」
重々しく応えると、
「さすがランかちゃんですね!いつの間にあんな演技力を…!」
感極まったように司会者は叫ぶ。
「そうだったんですか!ではあのランカさんの行動は、映画のシーンを表しているんですね!」
別の共演者もそう叫んで、いつの間にか『ランカちゃんの演技は素晴らしい』という結論に落ち着いてしまった。

生放送だったが、このシーンは映画公開前まで何度も放送され、ランカの演技が話題となり、彼女は更にアイドルとして活躍の場を与えられ、分単位のスケジュールで動くほどの忙しさとなった。
そして、「絶対に買わないで下さい」と言ったシェリルのミニアルバム『UNIVERSAL BUNNY』は、銀河チャートの歴代記録を塗り替えるほどのヒットになった。

そして、シェリルは。映画の宣伝も兼ねて急遽、単独で銀河ツアーに出ているのだ。
彼女専用のシャトルの中、自室でシェリルはグレイスと共に寛いでいた。
「…でも良かった。グレイス。やっと落ち着いて二人きりになれたのね」
「ええ。そうよ、シェリル」
「…ドラマと映画の撮影中は、離ればなれだったもの。寂しかったわ」
「そうね。ごめんなさい、シェリル。今夜は久しぶりに一緒に寝ましょうか」
「…いいの?」
「ええ」
幼い少女のように、シェリルは微笑んでグレイスに抱きついた。
「ありがとう、グレイス」
「シェリル…」
温かくグレイスはシェリルを包み込むように抱擁する。それから彼女を先に寝室へ向かわせ、一人になったグレイスはこっそりとインプラント・チップを起動させた。
『ご苦労だった、ブレラ少佐』
『グレイス大佐』
『シェリル・ノームをお前の妹の手から守ったのは、当然のことだが、…礼を言う』
『大佐。いえ、自分は』
上司であるグレイスから、初めて労われ、ブレラは動揺した。が、
『まさか…早乙女アルトよりも、ランカの方がやっかいだったとは。早乙女アルトがシェリルに手を出そう、という場合は実力で排除できるが、ランカを排除するわけにはいかないからな』
『……』
『暫くシェリルは私と二人きりにする。万が一、ランカが近付こう、という気を起こさぬよう仕事を大量に入れておくから、後は宜しく頼む』
『……』

そして半年。
ランカは、『銀河メディアレギュラー番組最多賞』を受賞し、彼女の名は『バラエティー・タレント』として、銀河中で轟いていた。が、
「シェリルさんに会えないよう…」
と、こっそりブレラに泣きついていたという。
そして。

映画は空前のヒットを迎え、放映されない星や船団が無いと言われるほどだった。出演者達も更に人気が出、ランカとシェリルは共に『銀河オスカー主演女優賞』、クランは『助演女優賞』、ミハエルはクランと共に『助演男優賞』を獲得した。
そして。

主演男優の早乙女アルトは現在ただの一学生として、パイロットコースで頑張っているとかいないとか。
噂に上ることも殆ど無く、おそらくは一人、平穏な生活を送っていると思われた。


おしまい

テーマ : マクロスF
ジャンル : アニメ・コミック

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Author:Rook
ようこそおいでくださいました。
こちらはマクロスフロンティア感想・および原作とは全く関係のない妄想小話の吐き出し部屋です。
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銀河の妖精至上主義
一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

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