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Wedding plan【前編】

『Depature』シリーズ関連作品です。
これとあと2本あげてから本編連載開始、となります。
『Departure』シリーズリストはこちらから。



Wedding Plan

『結婚式のプロデュース、手伝って欲しいの』
シェリルにそう告げられ、ナナセは理由を聞いた。
『お友達、だから。お願いしたいの』
そう告げられて、彼女に込み上げて来たのは怒りだ。
(無神経だわ)
クランやキャシーにだけ、頼むというならいい。自分はただの知り合いだ。
(どうして。ランカさんもいるのに。あなただって、知ってるでしょう?)
かつて、ランカがアルトに想いを寄せていたことを。
だけど、
『はい!頑張りますね!!』
当の本人がそういうなら、ナナセは反対も文句も言えない。

キャシーもクランも軍やSMSで忙しいので、実質動けるのはナナセとランカだけだ。大体の所はアルトの実家、早乙女家で仕切るというので、(一応)新婦側の彼女たちが出来るのは、余興とドレス選び位だった。それも、一着は白無垢だと決まっているのであと二着選べば良い。
芸能人なら結婚式のお色直しは5,6回するものだと思っていたが、2回だけとのことだった。
シェリル自身は来週ギャラクシーツアーに出発する準備で、採寸を取ったきり彼女も来られなくなり、アルトもSMSで惑星探索やらパトロールがあったりして、忙しい。

『せっかくだから、ナナちゃんがシェリルさんのウェディングドレス、デザインすれば良いんじゃない?』
ランカはそう言ってくれたが、ナナセは断った。
(あの人のドレスなんて)
アーティストとして尊敬もするし、命の恩人でもあるから感謝はしている。だけど感情は別だ。
(早乙女君がちゃんとランカさんを見てくれたら)
無垢な少女と美しく高潔な少年。
二人が結ばれたなら、ナナセは全ての神や運命に、呪咀ではなく感謝の祈りを唱えることが出来ただろう。

「ねぇ、ナナちゃん、ナナちゃんてば」
「あ、すみませんランカさん」
ナナセは考え事に没頭していたようだ。
「大丈夫?少し疲れた?」
テーブルの向こうから心配そうに覗き込んで来る。
「大丈夫ですよ」
そういって、ナナセは笑顔を見せた。
「でも、無理はしない方が良いよ?ここんとこ忙しかったもんね」
その気持ちが嬉しくて、でも。
「有り難うございます、ランカさん。でも良いんですか」
期せずして、言葉が零れた。はっとなったが、もう遅い。

ランカは、
「なあに?」
笑顔のままで訊いて来る。
何故かその表情にさえ苛立って、言葉をついだ。
「だって…!早乙女君とシェリルさんの結婚式ですよ?それに関われ、なんて言われて悔しくないんですか!?」
「悔しい?」
「シェリルさんも…早乙女君も無神経過ぎるわ、ランカさんの」
「ストップ、ナナちゃん」
ランカは少し哀しげに、手をかざして制した。
「うん、昔はね。でも今は大丈夫だから。心配しないで」
「心配ではなくて、私は怒ってるんです」
暗にあなた自身にも、という想いを込めて。かつての恋敵である人に自分の結婚式に協力しろ、だなんて言ってくる

シェリル自身にも、それを受けたランカにも。
どうしてヘラヘラ笑っていられるのか。
悔しいなら、悲しいなら、泣いていい。
たとえ受けたとしても、自分の前では辛いのだ、悔しいのだと感情を吐き出してくれても良いのに。

ああそうか。

ナナセはどうしてランカにさえ腹が立っていたのか理解した。
悲しいのだ。
ランカが自分に頼らず、一人で気丈に振る舞おうとすることが。
理想が叶わなかった現実が。

「確かにね」
ランカはテーブルに寝そべるように前屈みになったり、かと思うと猫のように伸びをした。
「悔しいな、て思わなかったら嘘だよ。でも」
ランカは窓の外に目を向ける。視線の先にあるのは復興中のアイランドの街並み。その先には豊かな、この星の緑が広がっている。

「それよりも、ほっとしたというか…」
ランカはゆっくりと、言葉を選びながら告げる。
「これで大丈夫なんだ、て。安心出来たの」
「ランカさん…」
ナナセの双眸がメガネの奥で潤む。でも遠くを見つめるランカには、見えていない。
「だから、感謝してるの」
迷いのない視線。
「ランカさん!」
ナナセは思わず抱きついた。
「うわ、苦しいよナナちゃん」
「流石ですランカさん!素晴らしいです…!」
「あ、ありがと。でも離して」
「ああっすみません!」
飛びすさるようにナナセは漸くランカから離れる。
「でも…ライバルだったのに、感謝できるなんて素敵です」
「えへへ、有り難う。今もライバルだと思ってるけどね」
「まあ」
ナナセの瞳が輝く。
「こうなったら、(歌で)負けないでくださいね!私、ずっとランカさんの味方ですから!応援します!!」
がしっ、と二人の手が重なる。
「うん。有り難う、負けないよあたし」
「ええ!こうなったら、絶対に勝ちましょう、」
二人同時に叫ぶ。
「シェリルさんに!」「アルト君に!」

…一瞬の沈黙。
が、やがて二人とも笑いだした。ランカは心の底から、ナナセはそんなランカにつられて意味も分からずに。
「うん、ふふ、あのね」
ランカは笑いながら告げる。
「シェリルさんは、大事な人。アルト君は、シェリルさんを独り占めしよーとするんだもん、ライバルだよ」
「え?えぇ?」
少しパニックを起こしかけたナナセに、ランカは告げる。
「でもねぇ、アルト君には感謝してるの。だってアルト君がシェリルさんのお嫁さ…じゃなかった、旦那さんになれば、シェリルさんはずっとここに居てくれるもん」
「……?」
「だって。エライ人たちが煩いじゃない?シェリルさんを帰せ、なんて」
「ああ…はい」

フロンティアがこの惑星に降り立った直後から、地球や他の船団との小競り合いが始まっていた。共同調査、という名目で惑星資源の乱獲を狙うものがいれば、表立った交渉もだが、自分たちの身元が割れないように海賊を送り込む。先の大戦で体力が尽きかけたフロンティア新統合軍とSMSは対応に必死だった。

そして。
『リン・ミンメイやバサラに匹敵するほどの歌手をフロンティアで二人も抱え込むとはけしからん。シェリルは我々の船団に来ても良いのではないか』
『フロンティアは旅を終えたのだ、銀河の妖精は銀河に帰すべきだろう』
それにフロンティア内部からも呼応する輩が出る始末だ。
『ランカ・リーはフロンティアの人間だが、シェリルはギャラクシーの壊滅によって一時的に身を置いたに過ぎない。大戦での尽力には感謝するが、そろそろ他の船団に行かれてはどうか』

そんな発言を国会中継でしてしまった議員は、フロンティア住民投票で追放されたが、口に出さないだけでその考えに同調している者は少なくない。
シェリル自身もそのつもりだった。



中編へ続きます

テーマ : マクロスF
ジャンル : アニメ・コミック

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Author:Rook
ようこそおいでくださいました。
こちらはマクロスフロンティア感想・および原作とは全く関係のない妄想小話の吐き出し部屋です。
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銀河の妖精至上主義
一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

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