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Wedding plan【中編】

中編です。
長い上にキャラに対する偏見がかなり入ってます。

ランカは語り出した。

「ナナちゃんがまだ入院していた頃だけど、アルト君があの場でプロポーズしなければ、シェリルさんそのまま帰ってこなかったかも知れないんだよ?」
「あの場…?」
「うん。勢いで」

それは3ヶ月ほど前のこと。
一部の住民はこの星での生活を拒み、再び新たな船団を組んで旅に出ることを望んでいた。そして、壊滅したギャラクシーの生き残りである人たちも、やはりフロンティアでの生活を拒んだ。
彼らの希望として、シェリルは同行する、と告げた。

その決意を、久しぶりに集ったカフェでさらりと言われ、ルカもランカも、勿論アルトも強硬に反対した。だが、「もう決めたのよ」シェリルの決意は固かった。そして、
「なら、…俺と家族になってくれ!」
アルトが痺れを切らし、そう叫んだ。
「家族?」
シェリルが呆然と訊き返す。
「そうだよシェリルさん、アルト君と結婚しちゃえば!」
思わずランカは叫んでいた。
「そう、そうだシェリル」
肝心の台詞をランカに取られ、焦りながらもアルトはシェリルの手を取って告げた。
「俺と結婚して、妻に。家族になって欲しい」

その瞬間。
カフェ・シルバームーンは喝采の嵐に包まれた。彼らの他にも、美星学園の生徒や一般の人々が大勢、このやりとりを固唾を呑んで見守っていたのだ。
シェリルは驚くばかりだったが、首を振り続ける。それでも最終的にアルトの提案に頷いた。
すると、
「でかした、早乙女ー!」
「シェリル様ぁ、おめでとうございます!!」
祝福の声が響き、
「せっかくだから、キスしてくださいよー!」
美星の男子生徒の言葉に、「キス」コールが吹き荒れ、意を決してアルトはシェリルに口付けた。その様子はばっちり隠し撮りされており(ルカが犯人と思われたが、本人は否定している)、その日トップニュースでフロンティア中に報じられた。
そして本人達も落ち着かないままに、早乙女家(というより19世嵐蔵後継者筆頭)によって式の日取りは、1年後と決まった。
そして、シェリルがフロンティアに留まる最後の条件として、地球及び他の船団・惑星を巡るツアーが決定していたが、帰還してすぐ式を挙げる、ということになった。
正直、1年で帰ってこられるか分からないのだが、「そこは迎えをやりますから」と、矢三郎は言い切った。式の段取りもほぼ全て早乙女家プロデュースとなるので、せめて、『友達の希望を入れたいの』とシェリルは望んだ。

「……」
ナナセは話を聞いて、考え込む。
「だからね、頑張らなきゃ!シェリルさん、アルト君のお母さんが結婚式で着た…ええと、シロムクムクとかいうの、着るんだって。あたし達はシェリルさんらしいドレスを選んであげようよ」
「…白無垢ですか」
漸くそう答える。婚約発表の記者会見を彼女は病院のベッドの上で観ていた。そこでもシェリルは着物、振り袖を身に纏っていた。あれも、早乙女縁の物なのだろう。
あの大戦の中でも芸を守り、磨き続けてきた早乙女家は、元々全銀河の船団間コネクションが強い上に、フロンティアで壊滅しかけていた他の芸能プロダクションの擁護者ともなって、今やフロンティアの芸能界・文化界の守護者という立場だ。

「このままじゃシェリルさん、早乙女さんちに…アルト君に取られちゃうっ」
ランカの怒りの方向が、良く分からない。
だからもう一度、訊ねてみた。
「本当に、良いんですかランカさん。その…早乙女君がシェリルさんと結婚して」
自分の感情を整理しつつ、ナナセは続けた。
「ランカさんは早乙女君のこと、あんなに好きだったのに」
「ナナちゃん…」
ランカの表情が曇る。
「ナナちゃんはそうやって、あたしのことを思って言ってくれるけど。結局、今のあたしのこと、見てくれていないんだね」
「え…」
「あたしね、ナナちゃん」
ランカは愛用のオオサンショウウオさん携帯に、ある画像を表示させる。そこには、ランカとシェリル、それとアルトの三人が写っている。シェリルとアルトは和服、ランカはいつものステージ衣装のようなスタイルだ。シェリルが真ん中で、アルトはその肩を抱いているが、ランカはシェリルの腰に後ろから腕を回し、こちらにピースサインを送っている。
アルトは眉間に皺を寄せているが、それは照れ隠しのようにも見える。シェリルは少しはにかんでおり、ランカは満面の笑みを浮かべていた。
「これ…」
「記者会見の後で撮ったの。三人で」
あの記者会見。ランカはその場で見ていた、というのか。
「綺麗だよね、シェリルさんも、アルト君も」
「ランカさん」
ランカの視線は、真っ直ぐ中央のシェリルに向けられている。
「ナナちゃんの言うとおり、あたし、アルト君のこと好きだったよ。多分、今でも好きだと思う」
「……なら」
叫び出しそうになるが、ランカの横顔がそれを拒んだ。そして、彼女は続ける。
「さっきも言ったけど。今のあたしにとって、シェリルさんが一番大事」

イチバンダイジ。

その言葉に、ナナセの胸が痛む。

――ああ。
ナナセがランカを見ていない、というなら、ランカも結局今、いや、過去もずっと自分を見てくれていなかったではないか…。

ワタシハ ズット ランカ サンヲ ミテイタノニ

「シェリルさんって、ステージの上と、学校ではほんと違ったよね。なんか凄く身近に感じたし」
――学校でも、変わらなかったわ。女王様みたいに早乙女君を小突き回して。ランカさんの、目の前で。
「だから、あたしも勘違いしちゃったというか…」
ナナセは怒りで青ざめる。すると、ランカはそれに気付いたのか、
「ナナちゃん、聞いて」
強い口調で告げた。
「学校ではシェリルさん、アルト君にちょっかいかけててそれが嫌だったし、アルト君もシェリルさんをずっと見ていて、凄い辛かった」
「……」
「あたし、あの時シェリルさんのこと嫌いだった。仕事でも、恋でも。ライバルだと思ってた」
シェリルがいれば、ランカの表情は曇った。
「でも、シェリルさんは良くしてくれて…学校では普通の友達として接してくれたし、仕事では色々教えてくれたの。あたしや、アルト君を導いてくれて…ずっと」
ナナセが知らない、その頃のランカの姿。ずっと遠い存在だったはずでありながら、彼女に接してきていたシェリル。ナナセに見えなかった物が、ランカには、シェリルには見えていたというのか。
「あたし、あの時は嫌な子だったよね。そんなあたしが、シェリルさんに優しくして貰う必要なんてなかったのに」
「ランカさん」
きゅ、とけーたい君をに握りしめ、写真を閉じる。そして、両手を拡げて飛ぶように、くるくると舞った。
「だからね、あたし、シェリルさんのこと尊敬してるし!それに、とってもとっても大好きなんだ!」
「ランカさん…」
ふわり、とランカはナナセの前に軽くジャンプして着地し、その手を取った。
「ナナちゃん、これが今のあたしだよ」
「……」
「アルト君よりも、シェリルさんの方がずっと大事。だからね、シェリルさんが笑顔なら、それでいいの」
そういって、もう一度ランカは写真を開いた。アルトもシェリルも、ランカも笑顔だ。
「大好きな人が幸せなら、それでいいの。ボビーさんも、『見返りを求める愛が卒業できたらオトナの恋よ』って言ってくれたし。あたしも笑顔になれるから」
「…そうですか」
――見返りを求めない、愛。

「だから、シェリルさんのドレス、すっごい素敵なの選ぼうね、ナナちゃん!早乙女さんちに負けてらんないもんっ」
再びテーブルに着き、ランカはカタログを捲る。すると、
「ランカさん」
ナナセが口を開く。
「あの、シェリルさんのドレス…やっぱり、あたし達でデザインしませんか」
「ナナちゃん?」
「シェリルさんに一番似合うの、考えてあげましょうよ」
「うん!そうだね!!」
再びがっちりと手を握り合う。ランカの笑顔を受けて、ナナセも微笑んだ。

――そうですね、ランカさん。

シェリルの笑顔が、ランカの笑顔になるというのなら。
自分もいつか、そうなるように。

「にしても、シェリルさんとアルト君の子供だったら、きっと美男美女だよね」
カタログを捲りながらうきうきと、ランカはそう言う。
「そう、ですね…」
アルトに似てもシェリルに似ても美しい子供だろう。
でもシェリルはアーティストだ。結婚したからと言ってすぐ子供が作れるとは思えないが…。
そう考えてナナセは顔を紅くする。
(そういえばあの二人、どこまでいってるのかしら)

「女の子だったらすっごい可愛いよね!アルト君そっくりだったら超美人さんだし!」
「はあ」
「シェリルさんそっくりの男の子だったらもぉ…超イケメンでしょ!?うん、頑張っちゃおうかな、あたしっ」
「…頑張る?」
「なんだっけ?ほら、ええとゲンジ計画?タマノコシ?」
「……」
「ちっちゃいうちからかわいがって、懐いてもらって!そしてお嫁さんにしてもらうの!」
「……」
来年、シェリルとアルトが結婚して直ぐに第1子、男の子が生まれたとしても、17、8歳下だ。
「そしたら、シェリルさんが…あたしのおかあさま、だよね!きゃーっ」
「……」
「はー。もぉデカルチャーv」
「……」
「『シェリルさん、おかあさまって呼んで良いですか?』『ええ。いいわよ』『は、はい。シェリルおかあさま』って、きゃーっ」
はうううううん、と奇声を上げてうっとりしているランカの脳内ではどんな妄想が描かれているのか。

「……」
ナナセは何枚かのスケッチを起こしながら、ランカの言葉が聞こえないよう考え事に耽っていく。
(とりあえず…あの二人には女の子が生まれると良いですね)

この星の夜空のように輝く黒絹の髪。琥珀色の美しい双眸が、真っ直ぐ自分に向けられて、
『ナナセお姉様』
そう微笑みかけてくる。
(可愛いかも…)

「うふふ」
思わずナナセは笑みを漏らす。すると、
「あ、ナナちゃん、出来た?見せて」
「え、すみませんまだですが…」
手元のスケッチブックを隠そうとするが、それよりも先にランカは覗き込んだ。
「…ナナちゃん、これ、和服だよ」
「あ、ああそうですか」
(思わずアルト君そっくりのお姫様を描いてました)
「はー、楽しみだね~」
「そうですね…」
とりあえずナナセはランカの先ほどの言葉を受け流すことに決めた。そして、
「ついでに、私たちのドレスもデザインしましょうか?」
「え!いいの!?」
「はい。花嫁のシェリルさんとお揃い、という訳にいきませんが。せっかくですからね」
「うわあ!嬉しい!ありがとうナナちゃんっ」
ぎゅ、とランカはナナセに抱きついた。
「ら、ランカさん…」

――そうだ。これでいい。今は…。

ランカの抱擁を受けながら、ナナセは目を閉じた。





ナナセ好きの方はすみません、でも私の印象ではこういう感じなので。
次は後編。この話は漸く完結ですが、暗い上に重いです。

後編へどうぞ。



テーマ : マクロスF
ジャンル : アニメ・コミック

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Rook

Author:Rook
ようこそおいでくださいました。
こちらはマクロスフロンティア感想・および原作とは全く関係のない妄想小話の吐き出し部屋です。
最初に来られた方は『はじめに』を一読下さい。
銀河の妖精至上主義
一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

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