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Wedding plan【後編】

長い上に暗いです。
それでも宜しければ続きからどうぞ。
此所までお付き合い頂き、有り難うございました。



数週間後、シェリルがギャラクシーツアーへと旅立つ前夜のパーティ。
忙しい合間を縫ってクランやキャシー、モニカやミーナ、ラムの意見を取り入れたドレス、そしてカナリアの発案で射手座軍服ステージ衣装をアレンジしたデザインの(純白にして、レースで彩った)、2着のデザイン画が完成した。
それを渡すと、シェリルは涙を流して喜んでくれた。
「とても素敵よ、ナナセ。ありがとう」
そう言って、ナナセの描いたスケッチブックを抱きしめる。今日も彼女は、桜色の振り袖を纏っていた。
「そんな、ランカさん達のお陰です」
「でもナナセでなければ、出来なかったわ」
涙を拭いながら、シェリルは微笑む。
「ねえ、シェリルさん!この射手座白バージョン、私も緑の衣装でお揃いにしますから!披露宴の席で一緒に歌わせて下さいね!」
「そうなの、嬉しいっ」
シェリルは叫び、ランカを抱きしめた。
「はいっ」
早乙女家とも相談して、披露宴で時間を貰った。
そこで花嫁を囲んでシェリルとランカのデュオ、そして女性陣とのコーラスを披露することとなった。コーラスには彼女たちの他に、美星学園の学友や、ミランダ・メリンも参加する。
その提案を聞いて、シェリルは二人を抱きしめ、
「ありがとう、ありがとう」
そう告げながら泣いた。
「シェリルさん」
ナナセもランカも、目頭が熱くなって、何も言えなくなる。その時、
「シェリル。兄さんが…って、何やってるんだ」
「アルト君」
ぎゅ、とランカはシェリルを抱きしめる。ナナセはシェリルの化粧が崩れないように、涙を拭っていた。
「なに?」
挑むようなランカの口調。
「いい加減、解放してやれよ」
「やだ」
「お前なあ」
「だって、シェリルさん帰ってきたら直ぐアルト君と結婚しちゃうじゃない。今夜くらいはあたしに貸してよ」
その台詞にアルトは呆れながらも、
「物じゃないんだぞ」
と、強引にランカの腕を引き剥がし、シェリルを奪い返した。
「あ、そうだわ」
何か思い出したように、ナナセが告げる。
「早乙女君の服は…忘れてました」
「あ、そうだったね」
「おい」
「早乙女君には何か適当に借りて頂いて」
「そうだね、絶対何着てもシェリルさんに見劣りするもん。なんでもいいんじゃないかな」
「ふふ、そうね」
「シェリル、お前まで…」
些か情けない表情になりながらも、アルトは強引にシェリルの肩を抱こうとする。すると、
「シェリルさん、アルト君のとこに行っちゃだめぇ!」
巫山戯ながらランカはまたシェリルに抱きつく。だが、その双眸は固く閉じられ、眦には涙が浮かんでいた。
「ランカちゃん」
あやすように、シェリルは彼女の頭を撫でる。
「行っちゃ嫌だよ、シェリルさん」
「ランカさん…」
冗談のような口調でも、ランカの声は震えていた。二人を観ながら、ナナセも身を強張らせる。本当は怖いのだ、彼女が旅立つことが。
今までは、それに必死で目を背けてきたけれど、ランカは堪えきれなくなったのだろう。
ぽんぽん、とシェリルは彼女の背を叩く。
「すぐ、帰ってくるわよ」
「やだ」
「1年なんて、あっという間だわ」
「だめ」
駄々をこね続ける幼子をあやすように、ランカの顔を仰向かせると、その指で優しく涙を拭った。
「絶対、帰ってくるから」
「……」
「ねえ、ランカちゃん。あたしが誰か、忘れた?」
「シェリルさん…」
「そうね、でも私が何と呼ばれているか、忘れたの?」
シェリルはにっこりと微笑み、ランカも顔を上げ、笑顔になった。
「「銀河の妖精!」」
二人美事に声を合わせ、ランカもシェリルも笑う、そして、二人を見守っていたナナセもアルトも声を上げて笑った。
「そうよ」
シェリルは力強く告げた。
「あたしは『銀河の妖精』だもの。銀河に愛されているのよ?その『妖精』が、銀河で事故るわけないじゃない、きっと守ってくれるわ」
「は、はい」
あまりにもシェリルらしい、その言葉に、アルトもナナセも苦笑する。そして、
「行こう、シェリル」
アルトに手を引かれ、シェリルは矢三郎の元に向かう。

その背を見送り、ランカとナナセは他の場所で待つ、クラン達の元へ向かった。


3ヶ月後、2着のドレスとランカ達の衣装も完成した。
ランカは学校と歌手活動で多忙な間にも、ずっとある曲の制作を続けていた。ランカ自身は作曲も作詞も余り経験がないけれど、シェリルに教わって少しずつ勉強していた。
それは、コーラス用の曲。
「みんなで歌いたいよね」
「シェリルさん、喜んでくれますよ」
きっとまた、シェリルは涙を流すほど喜んでくれるだろう。コーラスには事務所の先輩・徳川達も加わるので、アルト・ソプラノの他に、テナー・バスも加えたアレンジをしなければならないが、プロに任せようというエルモの提案をランカは断って、時折時間が合うメンバーを集め、音合わせをしながら編曲も続けていた。

だが。


その曲は、一度も歌われることなく。
ドレスは袖を通されることはなく。

シェリルが旅立って、一年後。


彼女たちの、時は止まった。








Wedding Planー



Audienceへ続きます。

テーマ : マクロスF
ジャンル : アニメ・コミック

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Author:Rook
ようこそおいでくださいました。
こちらはマクロスフロンティア感想・および原作とは全く関係のない妄想小話の吐き出し部屋です。
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銀河の妖精至上主義
一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

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