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Audience【後編】

ごめんなさいごめんなさい。
鬱、に尽きます。
なんかもう少しSFチックにしたかったんですが…すみません、いろいろオリジナル設定とか入ってます。



 そして、シェリルがツアーに旅立って約1年。
 彼女のツアーの最終点、地球で行われた彼女のライブと、フロンティアのランカ・リーとのライブをジョイントし、彼女のホログラムを流す、という試みが行われた。通信用のフォールドブースターを使った基地局を何カ所か中継し、時差は最小限に抑えられる。地球では18時、フロンティアでは20時丁度にコンサートが始まった。コンサートそのものはランカ・リーのものだったが、シェリルの関係者である自分たちにも席を用意してくれたので、数人の子供達を連れて行った。
 ランカの曲を聴くのは初めてだったが、良い歌だった。そしてやはり何よりも。
 ラストナンバー、シェリルとランカのデュエットが最高に盛り上がった。
「シェリルさん、ありがとうございました!」
 ホログラムのシェリルは一礼し、
『ありがとう!フロンティアのみんな!またすぐ会えるからね!』
 と、こちらに向けて大きく手を振る。
「待ってますからね!シェリルさん」
 ランカも自分たちも、彼女の帰還を心待ちにしていて、その一体感が彼女にも伝わったと思う。

 そのライブから、僅か一週間。
「いんちょ先生、じむちょ先生が至急、職員室に来て下さいって」
 その声に呼ばれた時、彼女の帰還日程が決まったのかと、思ったのだが。

 職員の殆どがそこには既に集まっており、みな、蒼白な面持ちでモニターに見入っていた。そこに映し出されているのは、
「ミス・シェリル?」
 静止画像で微笑む、シェリル・ノーム。
「院長、これを」
 渡されたのは、一枚の封筒。封を切って開ければ、
「『”銀河連邦民事法第百九十三条”の執行保証人の一人として、同法の執行を保証します』!?」
「――認証されました」
 自分の声に反応して、モニターから人工ボイスが響く。すると、画面の中のシェリルが微笑み、ゆっくりと口を開いた。

「この映像が流れているのは、何時か分かりませんが…お忙しい中、お集まりいただき、皆様ありがとうございます」
 銀河連邦民事法第百九十三条。それが意味するもの。
「保証人となって下さった皆様方にそれぞれ配信させて頂いておりますが、今からお話しすることは、皆様方の”権利”に応じて、分岐させております」
「……」
「この孤児院の運営ですが、資金については同法第四十三項に基づき、この院が存続する限り、毎年同じ額が支給されます。ですが、変動金利の乖離が一定枠を超えた場合、それに応じて金額も変動します。詳細については以前、契約書に交わした内容通りですので、そちらの弁護士とも、再度ご確認下さい」
 モニターの彼女はまるで裁判官のようだった。細々とした契約内容の説明をいくつか告げ、そして最後に。
「…皆様がこの映像を見ていることが、私自身、残念です」
 そう告げて、目を伏せる。
「…院長先生。子供達は、いらっしゃいますでしょうか。もし…この場にいなければ、是非呼んで下さい」
「……!」
 シェリルの映像がそこで止まり、「どうします?」と職員達が目配せを送ってくる。それに頷くと、一人の職員が走り出て、数人の子供達と、ボランティアスタッフが集まってきた。この時間は学校に行っている子供達も多い。すると事務長が、
「この映像はほぼリアルタイムでフロンティア…いえ、銀河中に同時配信されています。学校にいる子供達はそこで見ているかも知れません」
 と、告げた。

「シェリルだ!」
 歓びに瞳を輝かせたのは、あの少年だった。
 それを合図に、モニターのシェリルが再び口を開く。
「…ここから先は、フロンティア、並びに銀河連邦の皆様にお伝えしています。これは、私からの”遺言”です」
 そう。”銀河連邦法民事法第百九十三条”とは、船団間を長期間に渡り航行する場合、必ず作成しておくべき”遺言”だった。特にシェリルのような有名人、様々な財産・権利に関わる場合は必須とされる。
前回の銀河ツアー出発の際も作成されたらしいが、それは代理人による物で、本人が作成した物ではない。そしてそれは既に破棄されている、と聞いた。本来ならこの遺言も、シェリルがフロンティアに帰還すれば、誰の目にも触れずに破棄されていただろう。
 出発前に遺言を書く、とは確かに彼女も言っていたが、本当に使われるとはシェリル自身も思っていなかった筈だ。
 幼い子供達には、意味が分からないだろう。ただ、久しぶりに観たシェリルの姿に喜んでいただけだ。
「…残念ですが、私はもうフロンティアに帰れません」
 そう告げた時、「ええっ!?」「どうして?」子供達がざわめいたが、押し黙った大人達の雰囲気から何かを感じたのか、やがて彼らも沈黙した。
「私は、”銀河の妖精”だから、銀河に還ったのだと。そう思って下さい」
 長い沈黙。
「私は…ずっと歌うことが生き甲斐でした。生きることが歌うことで、歌うために生きてきました」
 シェルターで歌う、あの姿が瞼の裏に蘇る。あの姿は、妖精と言うより”天使”だった。
「ずっと、”銀河の妖精”として、歌うことも…それも夢でしたが、それとは別に」
 ふわり、と微笑む。その場にいた一人一人を見つめるような眼差しだった。
「”一人の女性”として、夢がありました」
 そう微笑むのは、18、19の年相応の表情をした少女だった。
「だから、これを見ている皆さんには…私の代わりに、夢を叶えて欲しいのです」
 彼女の、夢。
「いつか私も、愛する人と結婚して…沢山の子供達に恵まれて、楽しい家庭を築きたかった」
 夢視るような眼差し。
「だから。私の代わりにみんなには、いつか好きな人と結ばれて、幸せな家庭を作ってください。そして、フロンティアや…銀河のみんなは、絶対に、幸せになってほしい」
「……」
「私が叶えられなかった夢の分まで。だからこれが、私からの遺言です」
「ユイゴン、ってなんだよ!」
 少年が叫ぶ。
「帰ってくるって…言ったじゃないか、シェリル!」
 モニターの中のシェリルは、当然応えることはない。
「私のファンなら、私の夢を当然叶えてくれるわよね?」
 いつもの彼女のような、不敵な笑みを見せ、そして最後に、頭を下げた。
「…シェリルの、ばか!」
 少年の悲痛な叫びは、もう彼女には届くことはない。傍にいたスタッフが彼を抱きしめ、その身体に縋って泣き叫んだ。
「バカ…!」

 その声を背に、一人そこを出て自室へ向かうと通信端末を開く。
 既に早乙女家からメッセージが入っており、地球を出発直後、彼女のシャトルが事故に遭ったと思われるため、状況を調査中、とのことだった。
 あの映像は、シャトルが航行中事故などの原因で消息を絶ち信号が24時間以上確認不能になるか、明らかな損傷を受け、彼女の脱出が確認されなかった場合、自動的に放映される仕組みだ。
 おそらく今回は、後者だろうと。

 だからまだ、希望はあるはずだった。

 だが。

 フロンティア政府と、地球政府及び新統合本部で合同調査隊が結成され、フロンティアの時間で2日後、彼女のシャトルに同乗していたクルー3名の生存が確認された。更に翌日にはクルー全員の救命ポッドが発見、彼らは収容された。その証言によると、地球の重力圏を抜けた直後、デブリ・バースト――”宇宙ゴミ”とメテオロイド(流星物質)による過剰な電磁干渉及び引力干渉を受けたシャトルが制御を喪い、小惑星帯に突っ込んで破壊された、とのことだった。
「まさか」
 地球周辺は確かに先の大戦の影響でデブリの海と化しているが、通常デブリ・バーストが発生することはまずあり得ないし、発生したとしても、シャトルが巻き込まれるほど、広範囲に渡ることはまずない。だから、第一報を受けた時、信じられなかった。それに、コンサートスタッフと護衛隊員3名は救出されたのに、彼女自身と護衛隊長の安否が不明、というのはあまりにも出来すぎていた。
 自分も含め、当然これは何らかの陰謀ではないか、彼女は事故を装って、何者かに浚われたのではないか。と、皆、そう考えていた。

 だが、それから二週間後。
 彼女の護衛隊長、サイボーグであり、VF-27のパイロットが発見され、辛うじて生きている物の、下肢と胴体の左半分を著しく損傷した状態で見つかったとの連絡を受けた。彼は目覚めぬまま、その脳内チップの読み込みが行われ、事故当時の映像を抽出することが出来た。
 そこには制御を喪い、小惑星帯に突っ込んでいくシャトルを止めようとして、この機体ごと突っ込んで巻き込まれ、同時に爆発炎上する瞬間が記録されており、この状況が何らかの作為ではなく、予測不能な事故であったことを明確に裏付けるものであった。
 そして、さらには。
 発見された無人の救命ポット。その外側、ハッチの扉と外壁の間には、彼女の毛髪と覚しき細胞の欠片が残されていた、ということだった…。 





はい、すみませんここで終わります。
同時系列のランカちゃん視点もありますが…。

いつになったら本編入れるのかな~。

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Rook

Author:Rook
ようこそおいでくださいました。
こちらはマクロスフロンティア感想・および原作とは全く関係のない妄想小話の吐き出し部屋です。
最初に来られた方は『はじめに』を一読下さい。
銀河の妖精至上主義
一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

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