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fiancé

誰かさん視点。

某条例に引っかからないように苦労しました(ゑ

例によって一気に削った部分がありますので、一部脈略がつながっていなかったり、変なところがありましたらご指摘下さい。
…半年くらい経っているけど、自分の文章を冷静に見返すことが未だ出来ないのが問題。



 ―どうして彼女がお前の前から姿を消したのか。

 言われなくても、その考えは常に思考の片隅を支配し続け、消えたことはない。
 操縦席に座り、機体の状態をチェックする。普段は発信許可が出るのを待つ間、ドッグの様子に集中するのだが、今日はそれが出来ないでいる。代わりに、携帯端末を動作させた。そして、保存している画像を開く。
 自分の端末だから、というのもあるが、シェリルの画像は大概自分とクランやナナセ、ルカなどと一緒に映っている集合写真か、殆どがランカとのツーショットばかりだ。
 ランカはこれみよがしに、シェリルの頬にキスをしていたり、抱きついているので(アルトへの当てつけだろう)シェリルは困っているようでも、その笑顔は楽しそうだった。そう、その笑顔は自分に向けたもの。
 戦後の復興作業やツアーの準備でお互い忙しいながらも、実家の協力もあり、二人の時間だって過ごすことは出来た。ランカが本気で嫉妬するくらいの関係を、自分たちは築いていた。
 その時間は、決して長いとはいえないだろう。それでも、その時間よりも永い未来を、二人は約束していた筈だった。

 思い出すのは、彼女が旅立つ前の夜。その日はランカとシェリルのコンサートで、一曲だけランカが一人で歌うステージがあって。全ての観客が歓呼の声でそれを迎えていた。最高のステージだった。

「素敵ね。ランカちゃん」
 彼女を見守っていたシェリルは、本当に嬉しそうだった。そんなシェリルを、アルトも嬉しく思う。
「ああ」
 アクロバットで飛んでいたアルトも、シェリルと舞台袖にいた。最後の曲はシェリルとランカのデュエットだ。正直、それすら全て投げ出して、早く二人きりになりたかった。だが彼女が決してそれをよしとする訳がないのは分かっている。

 彼女は明日、ギャラクシー・ツアーの長い旅にでる。その前の晩でも、例え婚約者とはいえ彼女を独占することは叶わない。だが、
「ねえ、アルト」
「ん?」
 珍しく、甘えたような声でシェリルは微笑む。
「私、今夜の打ち上げさぼるから。付き合って」
 いたずらっぽくそう言って、アルトの顎に指をかける。
「いいのか」
 仕事のつきあいを彼女がさぼる、というのは初めてだった。そして、アルトもアクロバットチームのリーダーとして、正式に招待されているパーティだ。その二人が揃って抜け出すというのは。
「この私がつき合え、って言ってるのよ」
「…女王陛下の御心のままに」
 跪き、ふざけるようにシェリルの手を取りその甲に口付ける。シェリルも笑った。

 そう、この時は、互いが互いを求めているのだと、そう思っていた。
 打ち上げパーティの最中、来賓たちをランカに押しつけ二人は会場を抜け出した。最初はこっそりと、だが廊下を抜け、エレベーターに乗り込んだところで、二人して耐えきれず、笑いを漏らした。
「ランカちゃんに思いっきり睨まれちゃったわ」
 悪いことしちゃった、と言う唇を重ねて、言葉を封じた。最上階から一階まで降りる間、ずっと互いの熱を求めあい、離れることはなかった。
 1階に下りたとき、アルトはシェリルの頭を胸元に抱き寄せ、ボーイには「少し酔ったようだから、中庭の風に当たってくる」と告げた。しなだれかかる顔が彼らに見えないように抱いたまま、中庭を抜け、そのまま外へ。シェリルはサンダルを脱ぎ、裸足で駆けだしていた。
「危ないぞ、ばか!」
 思わず声を駆けると、
「平気よ。だって気持ちいいわ」
 少女のようにはしゃぐ様子も愛おしいが。
「…フロンティアの、大地も風も、感じていたいのよ」
 そう言って両手を拡げ、胸一杯に空気を吸い込む。その背中を、アルトは抱いた。
「ねえアルト」
「ん?」
「海が見たいわ」
 
 アイランド1は現在海上に浮いている状態だ。車ではなく、小型シャトルで砂浜のある陸地に降りた。此所は調査が済んだばかりで安全は確認されている。なにより誰もいないし、来ることもない。
「綺麗ね。夜なのが残念だわ」
「帰ってきたら、また連れてきてやるよ。今度は昼に」
「ええ」
 波打ち際に佇み、シェリルは靴を脱ぐとそのまま波に足を浸す。
「つめた…」
「当たり前だろ。風邪引くぞ」
 そう告げると、
「あら。アルトが温めてくれればいいじゃない」
 いたずらっぽく笑う。
「おい」
 寄りかかるように、シェリルは背中をアルトに預ける。
「フロンティアの…アイランド3の海も綺麗だったわ」
「そうだな」
 映画の撮影のあった場所。あの時に初めて二人は…。
 その時、腕の中のシェリルが、身を震わせた。
「シェリル。寒いなら帰ろう」
「いや」
「明日、出発だろう。風邪引いたらどうす」
 シェリルは振り向き、そのままアルトの唇を奪う。
「だから」
 そっと、囁くように。
「アルトが、温めて」
「……」
 その、眼差し。自分を誘う、潤んだ瞳。
 明日、彼女は遠い遠い旅に出る。だから、自分が渇望しているように、彼女も。
「シェリル」
 自分が求めているように、彼女が自分を求めているのが、わかった。
 足下に打ち寄せる波は冷たかったが、それよりも互いの熱が二人を包み込んでいる。
「…波の音」
「ん」
「まるで、心臓の音みたいね。この星の」
「…ああ」
 この星の生命と、そして、自分たちの生命。それが今、ここで一つに溶け合うのだ。


 そして、翌日。
 彼女は旅立った。

テーマ : マクロスF
ジャンル : アニメ・コミック

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Author:Rook
ようこそおいでくださいました。
こちらはマクロスフロンティア感想・および原作とは全く関係のない妄想小話の吐き出し部屋です。
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銀河の妖精至上主義
一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

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