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読書週間応援SSS今年度版(…)

以下、長いので読みたい方のみどうぞ。 相変わらず、ナルが壊れています。 麻衣ちんも犠牲者ですが、何よりの被害を被っているのはリンさんでしょう…(うちのリンさんに対する扱いって毎回こうだ…泣)

──10月後半の日曜日。 穏やかな日差しは、晩秋というよりも僅かに冬の気配を滲ませている。 四季の移り変わり、などという機微に払う感情など欠片も持ち合わせていない、という自覚はあるが、この時期は彼にとっても過ごしやすい。 忙しい夏が終わると、『秋っつったら食欲の秋だよねーー!!』と、麻衣は騒ぎ立て周囲を巻き込み、果ては自分まで巻き添えにして、何かと食べさせられる。 もっともその時期はそれ程長くはなく、最近は麻衣によって味覚も鍛えられたのか、食材が良いと素直に美味だと感じられるようになった。栄養状態が良くなれば体力も付き、仕事に対する集中力も効率も増すのだから、結果としては望ましい。 そして。 その後の一週間ほどは、仕事に集中できる絶好の時期と言えた。 何故か去年から麻衣は寛容になり、この時期は彼女に構うことが少なくても、こちらが余程の無茶な生活をしない限り、五月蠅く口出ししなくなった。 去年、麻衣に教えられたが、なんでも、『読書週間』だから、とよく分からない説明をされた。 彼女自身の情報のソースも、新聞からだった。それは彼女が英語の勉強のために、数年前から取っている、日英両方の言語で書かれた新聞だ。 別にそれは何処の国でも実施していることで、特に関心を寄せなかったが、何故か麻衣は殊の外気に入ったらしい。 なんでも、去年のキャッチコピーがお気に召したようだ。 『本を読んでる 君が好き』 というそれを見つけ、麻衣はその日一日中不気味なほどに機嫌が良かった。 そして、今年もそれを実行に移したらしく、こちらが仕事に集中している間、彼女も勉強以外に何かしらの本を読もうとしているようだった。 そして今日は、大学のレポートを作成していたらしく、図書館へ行ってから帰ってきたようだったが…。 「ぶっ…」 何故か部屋に入り、こちらを見遣った瞬間、失笑した。正確に言えば、堪えようとして、堪えきれなかったらしい。 彼女にしては珍しく、ただいま、と、おざなりな挨拶だけですぐキッチンに駆け込み、お湯を沸かしながらも、忍び笑いを続けているようだった。 いささか自分の機嫌が悪化した自覚はある。 全く覚えのないところで、笑いものにされるのは誰しも不快に思うものだ。 麻衣に言われるまでもなく、書斎を出、居間のソファに腰を下ろした。 すると、台所から出てきた麻衣は、 「め、珍しいね、休憩?」 「ああ」 ひきつった表情のまま、お茶を差し出してきた。 麻衣に視線を向けると、彼女はすぐに視線を逸らす。なにかやはり、含むところがあるらしい。 「言いたいことがあるなら、はっきり言え」 「……え、いや、あの。べ、べつにっ」 そう言って自分のカップをテーブルに置くと、再び何処かに駆け込もうとする。それを、 「麻衣」 名を呼んだだけで、留めさせた。 びくり、と震えた華奢な肢体を抱き寄せて、隣に座らせる。 「帰宅するなりなんだ、その不穏な態度は」 「ふ、不穏?」 そうかな、と、良いながらも目は泳いでいる。 ますますもって面白くない。 ふと、お仕置きの方法を思いついたが、今は昼だ。自分は構わないが(寧ろ今すぐにでも実行に移したいが)、後々麻衣が騒ぐことは目に見えているので、とにかく現状を打破しようと説得することから始めてみよう、と思い、黙っていた。 だが、こちらが口を開く前に麻衣はこちらの不穏な意図に感づいたのか、ぽつぽつと語り出した。 「えと、今日ね…大学のレポート用の資料借りるついでに、ボランティアで、子供向けの読み聞かせ教室に参加したんだけど…」 麻衣の専攻は文学部の心理学科だ。そのクラスの一つに、『児童心理学』がある。 その一環で、今日のように子供達相手のボランティアをすることも珍しくはない。 麻衣自身は将来にもこの仕事を継続していくことを望んでおり、それに対し真剣に取り組んでいるのは間違いない。もともと、感情面では莫迦に思えるところは多々あるが(酷い)、勉強熱心であり、集中力も高く知識の吸収もけして遅い方ではない。それは、彼女が大学受験中に勉強を教えていた臨時家庭教師の太鼓判を押すところでもあり、一緒に仕事をしている年長の同僚ですら、認めている。 そして、自分たちの上司も、彼女の生来持っている能力の高さの他にその仕事に対する姿勢を高く評価している。 子供向けのボランティアは、一見彼女の趣味だけのようにも見えるが、その反面、子供達の行動パターン及び心理的なデータをサンプリングすることは将来の研究にも役立つことである。 ので、よく日曜の午前中、麻衣は図書館や託児所に出かけていき、積極的にボランティアに参加していた。 こちらが黙って促してやると、麻衣は思い出すかのようにゆっくりと語り始めた。 「今回は絵本だったから、小学生未満のちっちゃい子ばかりだったけど、お話が面白かったのか、みんな目をきらきらさせて聞いてくれてね、嬉しかったの──」 麻衣が本を読み終えると、子供達は親も交えて唐突に語り出した。 その本の感想と、自分たちが感じ取った、まだ言葉に出来ない感情が溢れ出す。 親の方でも、そんな子供達の反応が喜ばしいのか、まじめに子供達のお喋りに受け答えしていた。 麻衣はその様子を微笑ましく思う。 もう自分には既に喪われた時間だが、それに痛みを覚えることはない。 そして、ボランティアのリーダーが最後にまとめとして、話を締めくくった。 「──図書館には、もっともっと面白い本がいっぱいあります。みんなは、これからもっともっといっぱいご本を読んでくださいね。本を読むのは、心にごはんをあげることです」 はーい、と、子供達の素直な反応がかわいらしい。 「おかあさん、おとうさん達も、お子さん達に負けないように頑張ってくださいね。来週からは読書週間ですし」 親たちからは苦笑が漏れる。 「でも、」 まじめぶって、リーダーは念を押した。 「読書に夢中になりすぎて、ご飯を作るのも、食べるのも忘れないようにしてください」 こどもたちも親にも、笑いの渦が起こった。 「今年の読書週間のテーマは、『しおりいらずの一気読み』ですが、ほどほどになさってくださいねー?」 「そうですね」 父親の一人が答えた。隣では、その妻だろう女性が顔を赤らめ、子供がそんな両親の姿をいぶかしげに見上げている。 経験があることらしい。 ……そして、麻衣の脳裏にも、同居相手の彼の姿が浮かび上がった。 「……」 「……あは、なんかもうさ。それ考えたらずーっと笑いがこみ上げてきて…で。帰ったらナル、やっぱり本読んでてさ、笑っちゃった」 こちらの沈黙に、感じるところがあったのだろう。 僅かに腰を浮かせようとするが、ナルはそれを逃さず、それを押さえ込んだ。 「だ、だってさ…ナル、本当にそうじゃん。どんな分厚い専門書も殆ど一気に読もうとするでしょ?去年のスローガンも好きだけど、本当にナル向けだなー、って。そう考えたらおかしくなっちゃったんだもん」 「──で」 「で、って…?」 「一人でまっすぐ帰ってきたわけではないだろう。そのことを誰に報告した?」 「ええ?」 なんでばれてるんだろう、と、その表情が語っていたが、 「べ、べべべ、べべっべつに、誰にも言ってないよ!」 「…ふうん」 逸らそうとする視線を覗き込み、ナルは秀麗な顔に悪魔の笑みを浮かべた。 「明日、事務所に来る連中が今日のお前みたいな反応をすると不愉快だからな。今の内にお仕置きしておくか…」 「は?…はぁぁ!?」 ちょっと待てーーーー!と、叫ぶ口を封じ、ナルは麻衣の身体を抱え上げた。 「お昼ご飯、まだでしょ?ナルも流石にお腹へってんじゃない?あ、あたしもご飯食べたいなーって…」 「後で良い。僕はそんなに空いていない」 「いや、あたしが…」 「…最高の調味料、を知っているか?」 「はい?」 そう問い掛けながら、寝台の上に下ろす。麻衣はパニックから暴れていたが、その唐突な言葉に目を瞠って動きを止めた。その隙に、横腹から服の裾に手を滑らせた。 そしてその耳元に、 「──適度な運動による、空腹だそうだ」 漸く理解し、必死に逃げようとするその躰を口付けによって弛緩させ、ナルはその上に覆い被さった。 「あぁ、そうだ」 思い出したように、躰を浮かせ、ナルは涙を浮かべた麻衣の双眸を覗き込み、 「──イタダキマス」 と、告げる。 ぎゃーなにそれ信じられないご飯の時は言ってくれないくせにっっーーーー!と、麻衣は叫び始めたが、それもあっさり押さえられる。 翌日。 昨日、図書館での一件を知らされた面々は、麻衣とその話題で盛り上がるつもりだったのだが、何故か彼女は休み、肝心のナルも所長室に籠もりきり、そのくせ所長室越しにブリザードを放っているのだから、集まった滝川達は安原も含め、早々に退散せざるを得なかった。 ただ一人、リンだけは滝川達が来る前に、何故かナルが上機嫌だったことを知っていたが…。 関わるまい、と、固く決意し、その日一日胃痛を抱えて資料室に籠もっていた。 2006.10.08 参考サイト↓ http://www.dokusyo.or.jp/

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