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25話最悪予想展開《前編》

…こうして吐き出しておけば絶対はずれると思い(たい)ので。


ぶっちゃけ、死にネタです。
(初のシリアスがこれかよ…)

載せるつもりはありませんでしたが、一応ゴーサイン頂いたので掲載します。

読んでしまったら自己責任でお願いします!苦情は甘んじて受けますが。
自分でも書いててすっごい辛かったです…。

劇場ではこんな展開では絶対に無いと信じてますよー!
監督…!!
ほら、絶対予想の斜め上行って下さいますよね!?

長いので、またしても前後編です。
 二人の歌姫が見守る中、一人の青年がゆっくりと空から舞い降りてくる。
 ランカもシェリルも彼の元に駆け寄るが、シェリルはその途中でふと、歩みを止め、駆け寄るランカの背中を見送る。ランカはちぎれんばかりに腕を振り、全身でその歓びを表していた。それを微笑みながら見守り、シェリルは軽く息を吐いた。
(良かった)
(二人は、大丈夫)
(ならばもう、いい)
 静かな喜びと安堵に満たされ、シェリルはゆっくりと瞼を閉じる、その時。
「ーー!」
 自分を呼ぶ声が聞こえたと認知する間もなく、まるで突風のような感覚に襲われた。その瞬間、彼女の体は上空にあった。
「アルト…?」
 いつかの時と同じように、彼に抱かれて空を飛んでいるのだと知り、シェリルは微笑んだ。




 アルトはきつく彼女の体を抱きあげて、琥珀の双眸を、蒼穹の瞳に映しこむ。
(綺麗だ)
 この、今飛んでいる本当の空が描き出すよりも彼女の瞳は蒼く、美しいのだと改めて彼は知った。そして言葉を交わさないまま、その唇を重ねる。
「……」
 彼女も何も言わないまま、黙って受け入れて微笑んでくれた。

 空は果てしなく、ずっと飛び続けていても尽きることはない。眼下に広がる景色の色彩はどんな絵画よりも鮮やかで、どこまでも美しい。
 腕の中で微笑むのは愛おしい女性。
 このままずっと、共に飛んでいく、彼の片翼。地上においてもなお、彼女がいれば彼はどこまでも飛び続けていくことができる、やっと手に入れた存在。

 彼は今、まさしく至福の極みに居た。









 アルトが降下してきた、と思うとシェリルを浚い、再び空の上に飛んで行ってしまった。
「良かったね、アルト君」
 ランカはそう呟き、空を仰ぎ見た。彼らの姿ははもう遠くなり、此処からだと小さな点にしか見えない。
 寂しさはあるが、それよりも。
 大好きだったアルト君。
 ずっと追いかけてきた、憧れのシェリル。
 そして今はそれだけではない、姉妹とも呼べるような、否それ以上の強固な絆で結ばれていて、誰よりも大切な人。
 大事な二人が結ばれて今、共にいる。それでもう、満足だった。でも。
(アルト君のバカ)
 今でも彼を好きであることに変わりはないが、今までの「好き」という感じとはまた違う気がする。そして、彼がシェリルに何をしたのかも知ってしまった少女は頬を赤らめた。あの時完全に三人の意識は繋がり、過去の記憶も全て共有してしまっていた。それは本来なら非常に恥ずかしいことではあるが、そんなことを気にする必要がない程、あの時三人は結ばれたのだ。
 ランカはそっと腹部に手を当てる。お腹にも心臓ができたような、優しい鼓動を感じる。そして、シェリルが今満ち足りていて、深い喜びを感じていることが伝わってきた。
(良かった)
 シェリルの負った傷はけして浅くはなく、未だに癒えないが、いつかきっとアルトが癒してくれるだろう。
 二人は結ばれても、自分とシェリルもまた別の絆で結ばれている。これ以上、望むことはない。腹部に当てた手を離し、SMSの皆の元へ行こうと振り向いた。
 だが、その時。
 キュイイ、とどこか悲痛に聞こえる高い声を上げてアイ君が飛んできた。
「アイ君?どうしたの」
 問いかけた瞬間、
「…っ!?」
 また、あの時と同じように腹部に痛みが走った。今までも何度か感じていたが、どの痛みよりもそれは強く、内蔵ごと引っ張られるような激しい苦痛。そしてそれは、
「シェリ…ル、さん…?」
 今まで確かに感じていた、シェリルとの絆。先ほどまでシェリルが感じていた静かな喜びも伝えてくれていた、それが。
 自分と彼女を結んでいた無数の糸が一本一本、引きちぎられていくような、確かに物理的に離れていても、それはこのつながりには関係がない筈のそれが、今引きちぎられていく、いや、喪われていくのだと悟った。
「シェリルさん!」
 叫んでも、もはやランカの声は彼女に届いていない。
「アイ君!」
 アイ君に駆け寄ったが、アイ君も痛みに襲われているのだろう、地面の上で蹲っている。
「どうした、ランカ」
「お兄ちゃん!」
 ランカの様子に異変を感じ取り、ブレラが話しかけてきた。
「シェリルさんが…」
 何と言ったらいいのだろう。言葉を選びながら、ランカは告げた。
「アルト君に連れてかれて、飛んでっちゃったんだけど、大変なの、早く連れ戻さないと」
「わかった」
 何が大変なのか説明できなくてもブレラには通じたようだ。彼は頷き、ランカの手を引いてVF-27の元へ駆け寄ろうとしたが、それを新統合軍の隊員が取り囲む。
「ブレラ・スターン少佐。ご同行願おう」
「お兄ちゃん!?」
「…ヤー」
 ブレラはそれに従い、少し遅れて駆け寄ってきたオズマに視線を向ける。オズマも黙って頷いた。
「ブレラお兄ちゃん、お兄ちゃん」
 戸惑うランカに、女性の軍人が話しかける。
「ランカ・リー。貴女にも同行願います」
「待ってくれ」
 オズマが声を掛けるが、
「オズマ・リー少佐。彼女は本件の重要参考人です」
 彼女の態度は頑なだった。それでもランカは食い下がる。
「もう少しだけ、待ってください!シェリルさんを助けないとーー」
 シェリルの名を出した途端、彼らの態度は豹変した。ブレラを囲んでいた者はざわめきたち、顔色が変わった。
「シェリル・ノームがどうしたというのですか」
「アルト中尉が上空に連れ出したようだ」
 答えたのはブレラ。
「だから、早く迎えに行かなきゃいけないの!でないと」
「シェリル・ノームの保護は最優先事項です。こちらからEXギア要員を至急派遣しましょう。スターン少佐とランカ・リーには我々と同行してもらいます」
 ランカの懇願を跳ねのけ、軍人たちは彼らの包囲を強める。そこへ、
「待って。私も同行します」
「キャシー」
「キャサリン・グラス中尉」
 キャシーが、彼らの元に歩み寄って告げた。
「私はSMSが軍の召還命令に背いて脱走を図ったとき、そのまま同行しています。私にも何か命令が出ているのではなくて?」
「確認します。ならば同行を」
 キャシーがランカの傍らに立ち、オズマに頷いて見せた。
「ランカ、シェリルのことはこちらに任せろ」
 そう言ったのはネネの掌から降りたクランだった。
「クランちゃん」
「キャシー、ランカを頼んだ」
「ええ」
 オズマの声に答え、キャシーがランカを促す。だがその時、ランカの体が傾いだ。
「ランカ!?」
「ランカさん!?」
 ブレラの腕に抱き止められたランカの顔色は悪く、疲労の色が濃く滲み出ている。ブレラがそのままランカの体を抱き抱え、クランとネネがシェリルを探しに向かう。
 アルトは上空を飛んでいるが、ゼントラン化しているネネならば、すぐに追いつくだろうと踏んだのだ。

 だが、それはもう。


 最期はステージの上だと思っていた。
 それはとても幸せなことで、アーティスト”シェリル・ノーム”としてそれ以上相応しい死に場所はない筈だった。
 でも今は、愛おしい男の腕の中にいる。彼が恋い焦がれた「本物の空」で。
(これはこれで良いかもね)
 どうして此処にいるのかわからない。もしかしたらこれは夢かもしれないのだから。

 ふわり。

 今まで感じていた、冷たい風とは全く違う、優しい風が頬を撫でた。
 気づけば、自分を抱いて飛んでいるアルトの横に、自分も並んで飛んでいた。
(何かしら、これ)
 何時の間にフォールドしていたのか、自分はアルトの腕に抱かれて居た筈で、隣にはその姿が今もはっきりと見える。
(ああ、そうか)
 その瞬間、理解できた。つまり自分はもう死んだのだろう。でも何故か今は、アルトの隣で、こうして飛んでいる。それは確かに、いつか描いた夢。
(学校でこんな風に飛びたかったけど。EXギアだとここまで近くを飛ぶことはできないわね)
 アルトはこちらの自分には気づかないまま、腕に抱いたシェリルの耳元に語り掛ける。その言葉は今のシェリルにもはっきりと届いた。
「約束、覚えているか」
(あの時の)
 聞きたくなかったが、耳を塞ぐこともできない。
「お前、言ったよな。ランカを助けて、全て終わったら、あの時の続きを聞くって」
 アルトの瞳は真っ直ぐ前に向けられている。
「”全て”終わったとは言えないかもしれないが、今なら聞いてくれるだろう?シェリル」
(アルト)
 聞きたくないの。そう伝えたくても、シェリルの声は彼に届かない。
「俺はもう、一人では飛べないって分かったから。お前たちが、いや、お前がいれば」
(アルト)
 もう、聞きたくない、離れたいのに、離れられない。そう嘆いたとき、手が握られる。そして、
「迎えにきたよ、女王様」
 そう告げる”彼”に、
「…ありがとう」
 そう答えてシェリルは彼の手を取った。






《後編》に続きます…

テーマ : マクロスF
ジャンル : アニメ・コミック

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一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

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