スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

葉月の候に

報われない所長シリーズ。 一応お付き合い、な筈のナル麻衣SSS。 本当はタイトルにあるとおり8月中にアップしようとして忘れていました。 密かに安原さんと所長が仲良しさんだったり。
葉月の候に 終業時間を過ぎ、ナルが所長室から出た時だった。 「お疲れ様でした。お先ですー」 そう告げてさっさと出ていく後ろ姿が目に入った。 「お疲れ様でした」 安原の言葉も背中で受け、振り返りもしない。 「……」 「最近の谷山さん、なーんか冷たいんですよね」 心当たりあります?と視線で問われたがナルにも見当がつかなかった。 軽やかな音とともにドアが開き、さては彼女が戻って来たのかと思わず目を向けると。 「よお」 そう言いながら入って来たのは滝川だった。 「お疲れ様です。リンさんとデートですか」 「オヤジ同士の大事なオハナシ。おーい、リン」 安原のちゃかしをさらりと流し、機材室へ向かう。すると、すぐにドアが開いてリンが出てきた。もう帰り支度を済ませている。 「お疲れ様です」 安原が声をかけると、リンも挨拶を返し、 「ナル。先に帰りますが夕飯はどこかで取って下さい。少しお痩せになってませんか」 「……わかった」 憮然とナルが頷いたところへ、 「では所長。一緒にどうですか?」 安原が声をかけ、リンと滝川が賛同し、渋々ナルは頷いた。 「今月に入ってからですよね」 安原が注文した冷や麦と冷や奴入り海藻サラダ、という非常にあっさりした夕食を終える。 そのまま日本酒を注ぎながら安原が唐突に口を開いた。 キンと冷やした冷酒は舌に快い。ナルは黙ってグラスをあけた。 安原と二人で飲みに行くのは初めてではない。 流石に抜かりなく、料理も酒も客層も申し分ない、落ち着いた店を選ぶので、誘われればわりとつき合うようになった。 ??お互いの恋人はこのことを知らないが。 安原の言う通りだった。 今月に入ってから2週間近く経つが、その間麻衣は一回もナルの部屋に来ていない。仕事帰りは勿論、普段の休日は必ず部屋に来て家事など頼んでもいないのにやりに来るのだが、それもない。 しかし、彼には全く心当たりがないのだ。 「昼間はともかく、帰り際は雰囲気が変わるんですよね」 「そうですか」 言いながら、ナルも同じように感じていたのを思い返していた。昼間は至って普通に見える。話しかけてくるし、昼食をともにすることもある。それが、夕方?特に帰り際は態度が変わる。 避けられているのではないか、とすら感じるくらいに。 ナルの受け答えをみて、安原は胸中で首を捻った。 ?問題は所長ではなく、谷山さん自身かもしれませんね。 今夜は収穫がないようだ。 恋人である真砂子からそれとなくきいてみようか、と思うが、彼女は今月に入ってから忙しくデートどころか事務所に顔を出す暇すらない。 今は良いが、この状態が暫く続けば所長の機嫌は悪化するだろう。そうすると職場環境もよろしくないし、何より所長の健康にも良くない。 恐らくは谷山さんが通わない間、リンさんが心配しているとおり所長は夕飯をとっていないだろうし、睡眠も。 ?睡眠? 何かが引っかかった。しかしそれはすぐに思考の網を抜け、掴むことは出来なかった。 なんとなく気まずい雰囲気を醸しつつ、ナルと駅で別れて帰路に着き、安原にしては珍しくそのことを忘れてしまった。 「俺には心当たりはないなあ」 「そうですか」 失望感も露わに、リンがため息を着く。 おいおい、と滝川は苦笑混じりに空のグラスにビールを注ぐ。 「すみません。しかし、今月に入ってからずっとなんですよ」 「麻衣がナルんち行くの避けてるって?俺も麻衣に会うの、今日が今月入って初めてだしなあ」 「…そうでしたね」 ナルが自覚するより先に、リンは感じていたのだ。 先月までは週に三日は麻衣はナルの部屋に通っていたと思うが、今月は全くない。 「帰りは本当にさっさと帰るんですよ。まるで…誰かを待たせているみたいで」 そう。 帰るのが楽しみかのように。それはまるで…。 ナルが麻衣を失うかも、と考えただけで恐怖を感じる。 ましてや、麻衣が他の??。 「お前さんが心配することはないと思うがね」 苦笑混じりに滝川は言う。 「さっきの話だと、昼間は仲良くやってるんだろ?ならいいんじゃないかね」 「しかし」 「この前の麻衣の誕生日は、二人で祝ったんだろ?もの凄く喜んでたぞ」 チチオヤ替わり、としては複雑だがな、と滝川は笑った。 「…そうですね」 ナルはその直前まで帰国していたが、ルエラやまどかに言われ慌てて帰ったのだ。そしてその後は確か二人で買い物に出かけ、ナルは麻衣に誕生日プレゼントを贈ったと聞いた。 『すごい、嬉しかったの…』 よほどプレゼントが気に入ったらしく、麻衣は涙を流さんばかりに感激していたが、そんなたいしたものではなかったと思う。 しかし、喜んでいたのは事実だし、昼間は普通なのだ。 それどころか、元気が良い。 『夏生まれだけど、暑いのは苦手ー』 らしく、この時期は例年だと体調を崩し、食欲もなくすのだが、今年はそうではない。 考えるとますます疑問ばかりが出てくる。 リンは思考を放棄し、久しぶりの酒を楽しむことにした。 翌日。 「綾子、おひさーv」 「久しぶり。…元気ねぇ…」 ニースの避暑地から帰ったのだという綾子には日本の夏が余計堪えたのだろう。 ぐったりとしながら麻衣のアイスティーを受け取った。 「うん、おかげさまで今年は元気だよ」 「そういえば、あんたこの時期は体調崩すじゃない。大丈夫なの?」 思いついたように松崎が言うと、 「絶好調!快食快眠快便だもん」 「…」 呆れ果てて松崎は突っ込むことすら出来ない。 そこへ、ナルが休憩を取りに所長室から出てきた。 事務所は所長室より若干気温設定が高めだが、文句を言うのは諦めた。 「お茶」 「はーい。ナルもアイスティーで良い?」 「ああ」 本当はホットティーが飲みたいが、最近事務所でお茶する時はアイスティーだ。 「今年は本当、快適に眠れるの。だから体調良いんだ。やっぱ睡眠って大事だねー」 「あら、そうなの?新しい扇風機でも買った?」 麻衣の部屋は本当にぼろい。しかも電圧の関係でエアコンを設置することすらできないから、毎年夏になると『暑くて寝不足ー』と言っていた気がする。すると彼女は、 「ううん。本当にナルのおかげ。ありがとうー」 嬉し気に告げた。 「僕の?」 ナルも怪訝に問いかけた。 「ほら、この前誕生日にプレゼントで貰ったやつ」 「ああ…」 麻衣の誕生日に二人で買い物に出かけ、あるホームセンターで見つけたのを、高いからと遠慮したが押し付けるように買い与えたのだった。 「なあに?それ」 綾子が興味を持ったらしく聞き返した。 「あのね、本当に凄いの!NA○A開発素材の安眠シートと枕!特に枕がねー、さいこーなのv」 と、麻衣は如何にその枕が素晴らしいか延々に熱く語った。 …勢いに押され綾子もナルも口を出すことができなかった。 「もー毎日気持ちよーく眠れるの!だから寝るのが楽しみになっちゃってー」 「…へー…」 「せっかくだからナルも買えば良いのに。でも冷房かけてるからいらないって言うんだよ」 「……」 「冷房かけっぱなしだと身体に悪いのにねぇぇ」 ひとしきり熱弁をふるって喉が渇いたのか、お代わりのお茶をいれに麻衣は給湯室に入った。 「ナル。…あんたもその枕買えば?」 「……」 「ぼーずとリンから聞いたけど、麻衣が今月からあんたんち行かない理由それじゃない?」 「…かもしれませんね」 ……自分が与えた誕生日プレゼントの枕。 今麻衣が一番執着している相手がそれだったとは…。 安心した反面、自分達の行く末に一抹の不安を覚えたナルだった。 完(笑)

■ Comment

非公開コメント

プロフィール

Rook

Author:Rook
ようこそおいでくださいました。
こちらはマクロスフロンティア感想・および原作とは全く関係のない妄想小話の吐き出し部屋です。
最初に来られた方は『はじめに』を一読下さい。
銀河の妖精至上主義
一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

Twitter
 
LOVE《リンク》
自分のブックマーク替わりです。皆さん素敵~!
カテゴリ
最新コメント
最新記事
マクロスF~名言集~
ランダムでマクロスFの名言が表示されます。


Spcial Thanks マクロスF
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。