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Fin du voyage -1-

Fin du voyage

タイトル通りの意味です。
約1年以上振りの更新です。
うわあああああすみませんすみませんすみません(涙

ということで、続きからどうぞ。



-1-


『――私のファンなら、私の夢を当然叶えてくれるわよね?』
 楽屋に戻ったグレイを待っていたのは、”シェリル”の映し出されたスクリーンだった。
「まだいたのか、アギレイ」
「待ってたの」
 端末を操作し、再びスクリーンにシェリルの姿が映し出される。銀河中、誰も知らぬ者の居ない、”シェリル・ノームの遺言”だ。
『――”一人の女性”として、夢がありました』
 スクリーンのシェリルは美しい。だが、確かにここでは”銀河の妖精”というより、普通の、一人の夢を語る少女だった。

 彼女は、どういう気持ちでこのメッセージを残したのか。
 彼女のファンや、そうでないものもこのメッセージを聞いて生き抜いてきたという。

 その”メッセージ”が終わると、アギレイは今度は別のビジョンを出す。
 廃墟のような、朽ちかけたライブハウスで歌うのは。
「シェリル、なのか…?」
 フロンティアでのバジュラ戦役の終盤、ギャラクシーでの版権の都合でシェリルは自分の持ち歌を歌えず、ボランティアで自作した曲を歌っていた。だが戦争が終わると彼女はそれらの曲を封印し、再び持ち歌を歌うようになった。
 だが。
「これは…さっきの」
「”妖精”。彼女が恋人に向けて歌ったとされる曲、だそうよ。戦争が終わってからは一度も歌われることはなかったけど」
「だから、か」
 彼女がここでの最後に、この曲を歌ったのは。あの時は動揺していたせいか、よく聴いてはいなかったが。
「…いい曲だ」
「ええ」




 目が覚めた時、真っ先に目に入ったのは薄汚い天井。1ヶ月近く過ごした部屋だ、と分かる。ならば、今までのことは夢だったのだろうか。だが、次に感じたのは誰かの温もり。
「え…」
 顔を傾けると、彼の顔が見えた。長い睫毛に閉ざされて、瞳の色が見えないのが残念だったが、それでも美しいその顔。どうしてだか、この部屋で、彼に抱かれて眠っていたらしい。
「髪、勿体ないじゃない」
 青いような、不思議な色の長い髪。あの髪が風に吹かれる姿を見るだけで。
 初めて二人で過ごした夜、あの夜空のような髪に自分の髪が溶けるように絡まり合い、それ以降は共に眠る時その髪を指に絡ませ、口付けるのが好きだった。それは、彼もそうだったらしいけれど。
(お互い様、ね)
 何の偶然か、二人とも髪を切ってしまっている。
「夢、なのかな」
 だとしたら、怖いくらいリアルすぎる。きっと、次に目覚めれば自分はあの、ギャラクシーのスラムにいて、ゴミの中で目覚めるかも知れない。それとも、グレイスによって何度も入れられた、治療用のベッドの中、だろうか。
(それでも、良かった)
 たとえ一時の夢だったとしても、幸福だと感じていたから。
 彼の胸に、背中を預ける。その腕の中で。
「このまま…」
 死んじゃえたら、いいのにな。
 ひそりと呟いた言葉は、誰の耳にも届かないだろう。だが、目を閉じて意識が失墜する寸前、背後から強く抱きしめられて再び意識は急上昇していく。そしてそのまま、躯を反転させられた。
「っ!?」
 狭い寝台に組み敷かれ、そのまま彼が覆い被さる。
「あ…」
 彼の意図は、明白だ。だが、こんなにも強引で性急にことに及ぶ事なんて、今迄なかった。そこに感じたのは、愛情よりも。
(…怒っている?)
 無理もない。それならば、受け入れるしかないではないか。
「ごめ……」
 ごめんね、ごめんなさいと。せめて謝罪の言葉をちゃんと伝えたいのに、それを告げることすらできない。
「アルト…」
 口吻を交わす寸前、一瞬だけ交わした視線。
(ああ)
 確かに感じた歓喜、だがそれはすぐに痛みと快楽、そして罪悪感におし流された。


テーマ : マクロスF
ジャンル : アニメ・コミック

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Rook

Author:Rook
ようこそおいでくださいました。
こちらはマクロスフロンティア感想・および原作とは全く関係のない妄想小話の吐き出し部屋です。
最初に来られた方は『はじめに』を一読下さい。
銀河の妖精至上主義
一応映画が公開されるまでの期間限定ですが、もしかしたら延長もあるかもしれません(笑)
→とりあえず完結編公開まで。

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